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日本では弥生時代の遺跡から出土した従来イノシシと思われた骨が豚の骨と判明した。古墳時代の遺跡からも豚の骨は出土している。『日本書紀』、『万葉集(萬葉集)』、『古事記』に猪飼、猪甘、猪養などという言葉があり(「猪」は中国ではブタのことを指す)、その当時は日本でも豚の飼育が行われていたことが伺える。南西諸島の琉球王国では中国と同様、日常的に養豚が為されていた。そして琉球人たちはハレの日には豚肉を食べていた。こういった当時からの本土との習慣の違いにより、沖縄県では豚肉料理が特に発達している。沖縄で飼育されている豚は、1385年に渡来したという琉球王国時代より続く血統の黒豚「アーグ」が有名。「アグー」または「シマウヮー(“島豚”の意)」とも。
また琉球だけでなく、薩摩地方でも豚は飼育され食用にされていた。1827年の佐藤信淵著『経済要録』には、薩摩藩の江戸邸では豚を飼育し、それによって取れた豚肉を町で売っていたという記録が為されている。また、1845年5月2日の書簡によれば、江戸幕府最後の征夷大将軍・徳川慶喜は、島津斉彬から父・徳川斉昭宛てに豚肉が送られていたという。そのせいか、彼は豚肉を好んで食べており、下々の者たちから「豚一様」などと呼ばれていた。新選組も西本願寺駐屯時に、松本良順の勧めで神戸から子豚を持ち込んで養豚し、食べていた。豚の解体は木屋町の医者・南部精一の弟子に依頼していた。福沢諭吉著『西洋衣食住』には、緒方洪庵の適塾にて学ぶ塾生たちも豚を食べていたとの記録が為されている。 |
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養豚が始まった時期ははっきりしない。これは遺物として見つかる骨が野生種のものか、飼育種のものかを判別するのが難しいからである。一方、地域的な分布は分かりやすい。最も古い骨は現在の中国南部から見つかった紀元前8000年ごろのものである。ついでメソポタミアの紀元前4000年、エジプトの紀元前3000年ごろの骨が古い。ヨーロッパの養豚の歴史は古く、イギリス諸島においても紀元前4000年の骨が見つかっている。インド東部、東南アジア、中央アジア南部にも養豚が広がった。これ以外の地域では養豚の証拠が見つかっていない。例えばアフリカ大陸ではエジプト以外の地域には養豚が普及しなかった。中国では農耕の開始とほぼ同時期に養豚が始まったと考えられているが、メソポタミアでは農耕開始後、5000年もの時間差がある。 |
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イスラム教では豚は不浄なものであるとされ、食のタブーとして食用が禁じられている。そのため、中国やシンガポールなどムスリムの人口が多い国や都市では、豚肉を一切料理に使用していないこと、ラードや豚骨スープ等豚に由来する成分なども使用していないこと、そして豚以外の肉でも所定の手続きを踏んで屠殺したものであることの3箇条を示す「ハラール(Halal)」という証明書の取得と表示が料理店に対し義務付けられている。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどの外資系ファーストフード店にも表示が義務付けられており、さらには現地で販売されているスナック菓子などにも表示が付けられているのを見ることができる。また、ユダヤ教でもカシュルートにより豚肉の食用が禁じられている。 |
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黒豚に代表されるバークシャー種、高座豚に代表される中ヨークシャー種など品種による銘柄豚が命名された。近年では、これらの品種の二つか三つ(三元交配)を掛け合わて肉豚を生産することが多い、肉質の良い品種、子豚を多く生む品種を使いハイブリット豚も造られている。黒豚は肉が特に美味いとされるが、小柄で肥育に日数を要するので、純粋な黒豚を肉用に肥育することは少ない。 |
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臓器のサイズが人間のそれと近いため、現在、異種間移植用の臓器提供用動物として、研究が続けられている。 |
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ブタの貯金箱は、依頼者が"Pigg"という人だったため、陶器職人が"Pig"と勘違いしブタの貯金箱を作った。 |
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韓国では、縁起のよい動物とされている。漢字の「豚」を韓国語読みした「トン(돈)」が、「お金」を意味する韓国語と綴りが同じためである。豚型の貯金箱に人気があり、また豚の夢を見るとお金がたまるといわれ、宝くじを買ったりする。ちなみに韓国語で「豚」は「テジ(돼지)」といい、イノシシは「メッテジ(멧돼지)」というが、日本でいう亥年は韓国では「豚年」である。 |
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中国語では、"ブタ"は"猪"と表記される。西遊記に登場する猪八戒はブタに天蓬元帥の魂が宿った神仙だが、“猪”は“朱”(中国ではよくある姓)と音が通じるためにこの名にされたが明代に皇帝の姓が「朱」であったため、避諱によりもとの意の通り「猪」を用い、猪八戒となった。 |
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高級食材で知られるトリュフを掘り起こすのに、かつてはメスブタが使われていた。トリュフにはオスブタの持つフェロモンと同じ成分が含まれており、トリュフの匂いを嗅ぎつけ興奮したメスブタが掘り返すのである。しかし、メスブタがトリュフを食べてしまうことも多いため、最近ではイヌを用いるようになってきた。 |
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関西で「肉」と言えば牛肉のことを指し、豚肉は「豚」を呼ばれることが多い。従って関西では、豚肉などを使った中華まんのことを「肉まん」とは呼ばず「豚まん」と呼ぶ。 |
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